雪が楽しくなくなったのは、いつからだろう。
自分で雪かきをする年になった時からかもしれない。
私が住んでいる地域は、高齢の世帯も多く、還暦を迎える私でさえ若手の部類に入る。
世代交代で、アパートに建て替えられるが、アパートの住民は大抵雪かきはしない。
そこだけ残ってしまい、翌日アイスバーンになるのが関の山である。
かこさとしの絵本「ゆきのひ」は、雪国の暮らし(野菜をムロにしまったり、雪囲いをしたり)や遊び(雪合戦や、かまくら)をこまかく丁寧な独特のタッチで描かれた絵本の名作。
昔、うちにあった絵本はもっとペラペラの厚紙でできたようなものだったけどな。
今は、立派な絵本になっていて、ちょっとよそ行きの感じ。
私の家は急な坂の隣にあり、大雪が降ると近所の子供たちがスキーを楽しむこともあった。
スキー板で踏み固められてしまうと、雪かきが困難になるため、雪の朝などは特に早起きをして、子供たちが集まる前に雪をかいてしまっていた。子供たちにとっては意地悪バァサン以外何者でもない。でも、その坂をたくさんの人が通って、スーパーに買い物に行くので、坂で転んで怪我をするよりは良いだろうと思ってせっせと雪を退けていた。
昔は、雪かきも町内の人たちが、同じくらいの時間に揃って雪かきしたが、今は個人主義のせいか、全く揃わない。いい事だが、私のような思い切りの悪い人間にとっては、やめ時が難しい。
もうそろそろ、終わりにしようと思っていると、私よりはるかに高齢の方が、ビニールのピカピカした長靴で雪かきに現れる。頭を打って救急車を呼ぶ事にならないかと心配になり、結局「手伝いましょうか」と声をかけてしまう。そうして、終わりにしようとすると、別の高齢の方が現れる。翌日もしくは翌々日にはげしく筋肉痛がやってくるというパターン。